尾道の商店街はメインのアーケードもレトロっぽかったり見どころが多いが、その道から山、海へ延びる南北の路地を見逃したら勿体ない。店と店の間から山が見えたり海が見えたり、メインの商店街にはない店があったり。
ここはチャイダーの店がある路地。
「うどん」。窓には「うどんありません」。
この「うどんありません」は看板ではなく、実はTシャツ。貼り紙を見ると基本的に飲むところらしいけれど、ハイボールの横に「自転車の空気入れあります」とかTシャツいくらとか色々書いてあってなかなか面白そう。
看板が「上田玩具展」になっている店はどうも食器などを売っているようだ。右はパン屋さんの「パン屋航路」・・ぱんやこうろ・・ あー暗夜行路・・
大林宣彦監督作品「転校生」で小林聡美さんが自転車で駈け上がった跨線橋。鞆鉄バスが通り掛かった。NHK「てっぱん」の時は主演の瀧本美織さんもここでロケしている様子がNHKの公式ページに載っていた。
そして以前も書いたことがあるが、喫茶店「鹿鳴舘」。「ろくめいかん」と読みたくなるが「かなりや」と読んで下さい。
今は山陽本線と国道2号線にちょん切られてしまっているが、実は昔、山側にあるお寺や神社の参道が海の方まで延びていたので、商店街から北に延びる路地の先に、このように寺や神社が見えることも多い。
祭りの時に神輿が立ち寄る「お旅所」が出来ていた。中に神輿と、ベッチャー祭りの面が置いてあった。
山の上の方に千光寺と巨石が見える。
元は電気屋さんだったが、観光案内のマップが置いてあるスペースになっていた。電気屋さん時代から置いてあったオバQがまだいた。「うごきません、やさしくのってね」と書いてあったが大人は乗らない方が良さそう。
木造3階建て。堂々たる大きさ。
「涼むだけでもお気軽に!」と優しい貼り紙のあるお土産どころ。
天寧寺下。山の中腹に重要文化財・三重の塔が有り、その上の山頂に千光寺山ロープウェイの山頂駅が見えている。参道の途中がトンネルみたいになっているが>次の写真へ
どどんどどんっと貨物列車。この下にいると、頭のすぐ上を列車が走る。尾道はお寺と列車など面白い写真が撮れる題材の宝庫。
お、通り過ぎるところだった。。
ここも見るからに参道。「フジカラー」の看板が、今やちょっと懐かしくないですか・・
千光寺踏切下。今回望遠レンズを一切持っていかなかったので見えづらいと思いますが、信号機のアームの少し上にロープウェイのゴンドラが見えています。
ここは石畳が立派。コンクリートのフタと自然石だと、不思議と歩いた感触が違って感じる。
この写真の山の上の方、右端に千光寺の「玉の岩」が写っている。
玉の岩の伝説はこちら。(FLASHプレイヤー必要)
有名な蒲鉾店(東京のデパートの名品展などにも時々出ている)「桂馬」の脇の道の石畳も立派。海に延びる道。
「おしい!広島県」の喫茶店「メキシコ」は創業57年だそう。
尾道は古い喫茶店があって、「孔雀荘」は昭和8年「日の丸サロン」として創業したギャラリー喫茶で、小林和作画伯を中心にした文化サロンの役割も果たしていた。戦後尾道駅の北東側に引っ越し孔雀荘として続いてきたが、1度は閉店。だが引き継ぐ人が見つかり復活した。>関連記事
喫茶店に人が集って文化サロンになっているということと、パソコンやスマホを持った人が並んで座って黙ってそれぞれの世界に閉じこもっていることは、同じ喫茶店でありながら随分違う光景だ。スマホも間違いなくコミュニケーションツールであり、相手は近所の人ばかりではなく世界に広がっているのだが、なぜか「閉じた」という感じを持ってしまう。世界は広いのに閉じて見える不思議。
この「芙美子記念館」の看板がある店は、以前は喫茶店の芙美子だった。店に入った奥に、林芙美子とその親が一緒に暮らした狭い木造建物がある。そのまま保存して誰でも見ることが出来たが店が閉めてしまい見られなくなっていた。その後それでは残念すぎるということで有志が記念館として内部を見られるように管理しているという。
見ると部屋は狭い。林芙美子が売れて東京の下落合(現在の中井・林芙美子記念館として新宿区が公開している)に建てたご主人のアトリエと芙美子の仕事場付きの立派な家と対照的だ。ここはここで見る価値ありと。色々やっているようです
商店街を西側に進んできたが、いよいよ駅前が近付いてきた。先ほど書いた「孔雀荘」が中央少し左に見えている。
「沈黙の艦隊」などでお馴染み、尾道出身の かわぐちかいじ氏と、双子の弟で最近亡くなった川口協治氏の原画を元に制作された駅前再開発完成記念モニュメント「潮(うしお)くん」と「さくらちゃん」の像。
川口協治氏は地元で家業のガソリンスタンドを経営しながら、経済誌などに4コママンガを描いたり、市や企業の観光ポスターなど数多く手掛けていらしゃったので、祭りのポスターなどを目にした方は多いと思う。画風に元気があって尾道愛があって好きだったので大変残念だ。
まとまった仕事としては「小林和作伝 花を見るかな」がある。
駅横のデパート「福屋」に行ったら、2階の啓文社(大きな本屋)が無くなっていてショック。ここで尾道関連本を買うのが楽しみだったのになあ。
その横の尾道浪漫珈琲は相変わらずやっていたので寄った。とはいえ檸檬の樹でアイスコーヒーを飲んでからそんなに時間が経っていなかったので、アイスコーヒー用の豆を購入。ここの自家焙煎豆は好きだ。雰囲気は珈琲館とか上島珈琲とかそんな感じ。商店街の中に本店がある。ホテルに泊まると、朝はここでモーニングサービスを頂いてから観光に出発というのが私の定番。前はよくミスドに行ってたが、今はリトルマーメイドになったみたいだった。
尾道浪漫珈琲の並びにあったビストロ・ヴァンビエールが無くなっていたのも残念。昔、駅の向かいの地下で「もぐらハウス」としてやっていた頃から行っていたのだがどうしたのだろう。どこかへ移転してやっているのなら良いのだが、「もぐらハウス」から変わったように、名前が変わると分からなくなる。
バス、タクシー、渡船にロープウェイ。乗り物いっぱいの町でもある。どこから見ても何かしら動いていて変化がある。シーンとした静けさではなく、人が海と共に生活している環境に浸るのが尾道の楽しみ方ではないかと。ではそろそろ家路に。
さようなら尾道。
また黄色というかオレンジ色のが来た。しかもどこ行きだか・・まあ絶対福山には停まるからいいけど。
いいですね、この感じ。旅と言う感じがする。地元の方にとっては日常の風景なのだが、東京の通勤電車は殆どこういうボックスシートがないから、これを見ただけで「別の場所に来た」という感じがする。
窓に尾道の風景が流れる。朝来た風景を逆再生・・
私には行政区分と関係なく、この尾道大橋が尾道の玄関のような感覚がある。実際観光コースなどはこの西にしかないから、観光的な尾道はここまでということになる。そういえば尾道大橋は何度もレンタルバイクや徒歩で渡ったことがあるが、新尾道大橋は体験がないな・・
さようなら、尾道
福山着。横に福塩線・府中行きが停まっている。2両編成のワンマンカー。山陽本線の色よりもう少し明るい黄色に青ストライプがカワイイ。
来た時同様、駅に着いてから「次の東京行きは何時かな」と探してex予約。シュルシュルーっと滑り込む新幹線。比べると、山陽本線や福塩線と同じ「電車」という呼び名なのが違和感があるぐらい異質な外観。先端から運転席ぐらいまでで、福塩線の1両分ぐらいありそうな・・
数時間の尾道旅だったけれど、凄く行った甲斐があった。檸檬の樹のマスターに挨拶出来たし、尾道の空気を十分吸ってリフレッシュできた。意外と日帰り出来るんだなと。
実はこれには伏線があって、先日小倉に行ったときも1泊で、昼前に出て小倉に行き、翌日夕方には東京にいて全く疲れなかったから「尾道の方が近いから出来るな」と見当が付いた。
ある意味交通費と滞在時間からいうと経済効率が悪いが、別の見方をすればホテル代も夕食費もなく、着替えも洗面道具も持たず、いつもの「ちょっと池袋に行ってくる」のと同じ支度しかいらなくて、こんな気軽なことは無い。それでいて好きな新幹線にたっぷり乗れて、帰りなど、斜め後ろに某女優さんが座っていて・・ 1番電車「のぞみ1号」から始まって、あー、楽しかった。
東京駅に無尽蔵にある食べ物屋の一軒で餃子と冷やし中華を食べて帰ったら、親は夕食を食べていた。「もっとゆっくりしてきても良かったのに」と言われたが、食事の後片付けは当然のように私がした(笑)。明日は洗濯だな。