2013年8月アーカイブ

尾道にちょいと(2)喫茶・檸檬の樹

2013008290020.jpg今回の目的地、「檸檬の樹」。十数年前、向島の大林宣彦作品ロケ地めぐりの起点、私設案内所(?)として訪れて以来のお付き合い。

銀行員を脱サラして始められた喫茶・ギャラリー。マスターの絵はプロはだし、奥様は琴と葉書絵と芸術面の理解が深くて、地元の写真愛好家、絵画グループなどの展覧会もよく行われてきた。

そして店を閉じるフィナーレは、マスターと奥様の作品展。"らしい"終わり方だと思う。

2013008290021.jpg店はこの1か月"開店以来"だという混雑だそうで、遠くからもファンが別れを惜しんで駆け付けている様子。日曜画家の域を超えた尾道愛を感じる力作が並んでいる。
 
 
 

2013008290022.jpg25年間が過ぎたとはいえ、まだまだ綺麗な店内で、閉じてしまうのが勿体ないぐらい。ということで色々な方が「今後ああすれば、こうしたら」とアドバイスを下さるという話だが、マスターは閉じると決めたからにはギャラリーなどとしてまた開くのは考えていないとのこと。コーヒーを入れて人に出すことは好きなので、別の展開は考えられるとはおっしゃっていたが、ここでの再開はないと。
 

2013008290023.jpg小歌島という住所にあるお店。窓から小高い山が見える。この山が本来、向島から独立した島であった小歌島本体で、その周りを埋め立てて向島と一体化して今の形に。地名に「島」のなごりを残している。この山の向こう側が海、尾道水道で、中腹に灯台が建っている。
 
 
 
 
 
 
 
 

2013008290024.jpgここで最後のモーニングセットを頂いた。パンとコーヒー、ゆで卵とサラダと果物入りヨーグルト。そういえば東京を早朝に出る時から何も食べていなかったな。閉店挨拶?のお土産なども頂く。家具類などにも25年の思い出があるとおっしゃっていた。今度の土曜日が最後。台風が来ているけれどどうなるか「最後の日が台風で大荒れというのも、この店らしいかも」と笑っていたマスター。
 
 

2013008290025.jpg昔集まっていた「尾道FAN」、自転車を借りて「さびしんぼう」や「ふたり」「あした」などのロケ地を訪ねていた多くの大林ファンのこと。「男たちのYAMATO」の巨大ロケセットが横にあった頃の話。亡くなった駅前マルコシ書店のご主人のこと。尾道に詰まった色々な思いが過去になっていく。

これでもう、訪ねて「どうも」「やあお久しぶり」というお店がなくなった。毎度行く店はまだあるが「お帰り」という関係ではないので。

 

2013008290026.jpg考えてみれば、こちらが歳取ってくれば本当の故郷でさえそうなってくる。私を子供の頃から知っている親類も減ってきた。

景色は変わらないが知っている人の少なくなった"第二の故郷"尾道。今後は「懐かしむため」に来ることになるのかな。寂しいような話だが、この穏やかな風景は変わらず迎えてくれるに違いない。

さて続きは、ちょっと商店街を歩いてみた。木曜日は定休の店が多いのでシャッターの閉まっている寂しげな感じだったが、新しい店が目立って増えていたのでちょっと嬉しかった。  続く

 

カメラ:Sony α99 + Sony ZEISS 2.8 / 16-35mm

 

尾道にちょいと(1)

2013008290001.jpg親が歳取ったり退院したばかりだったり猫がいたりすると、なかなか昔のように長期間気ままに出にくくなってくるのは当然の流れだが、今回は20年近くも親しんできた尾道の喫茶店「檸檬の樹」が8月いっぱいで閉めるというので、これは是非8月中に目に焼き付けなければということで、早朝、突然思い切って東京駅に。

週末は台風が来るというタイミングだったので、もうこの日しか無さそうという8月29日(木)。母が入院して検査を受けていた1週間あまりは、この先手術などあるかも知れないと諦めかけていたのだが、「様子を見ましょう」という結論で退院してきたので急に希望が湧いた。

朝5時台は電車も少ないのでタクシーで東京駅日本橋口へ。5時45分ぐらいに到着。6時半の「のぞみ」を狙っていたが、6時のに間に合う。早速パソコン(タブレット)を開いてex予約、モバイルSuicaでピッと入場。現金いらず、便利になったものだ。

そして6時の「のぞみ1号(1番列車!)」で出発して外を見たのが1枚目の朝日が眩しい写真。こんな時間に電車に乗るのは生まれて初めてだった。それだけでもワクワク。

福山で降りたのがまだ朝9時半だった。山陽本線に乗り換えて尾道に向かう。これもモバイルSuica1つをタッチしていくだけで在来線への乗り継ぎも肩すかしのようにスムーズ。(宣伝みたいになってるな)

2013008290002.jpg尾道大橋、新尾道大橋をくぐると尾道の町が海沿いに広がっている。久しぶり、取りあえず遠目には変わってない。"勝手知ったる他人の家"に帰ってきた。
 
 
 
2013008290003.jpg家並みの向こうに海と造船所。尾道の素顔。やはり在来線で来ないとダメなのだ。新幹線の新尾道駅にこの風景は無い。
 
 
 

 
2013008290005.jpg山陽本線て、いつからオレンジ系の黄色になったのだろう。いやオレンジ色なのか。初めて見た。
 
 
 
 

  

連結部分のヘッドライトが点いてますけど・・どこかで連結したときに消し忘れたとか?ちょっとライトアップ風で華やかになってます。
 
 
 
 

2013008290006.jpg台風のせいなのか、カンカン晴れたり曇ってパラッと来たりの尾道水道。船の行き交う音と、向島(むかいしま)から聞こえてくる造船所のクレーンや溶接などの音。音も、ディーゼルエンジンの臭いも尾道。
 
 
 

2013008290007.jpg10時過ぎだから通勤・通学時間を過ぎて1隻で往復する福本渡船。

尾道大橋が無料化されてそちらを利用する車が増えたため、経営が大変になった。昔はこんな時間でも2隻使っていたような気がするのだけれど。しかし車を使わない子供たちをはじめ、歩行者にとっては欠かせない生活の足。と言うより道そのものである。片道歩行者60円。対岸で支払う。地元の人は回数券・定期券。

2013008290008.jpg自動車を3列並べて乗せられる船だから、近くで見ると結構大きいしエンジン音も迫力がある。尾道水道の変化のある速い流れや、乗せている車の重量なども変化要因だろうが、まあ慣れたもので淡々と往復している。

尾道は古くから映画やテレビの撮影、写真や絵の題材になる町だからか、カメラやビデオを撮っている人がいても全く普通に受け入れてくれる。「そこで何してるんですか」「乗るんですか乗らないんですか」なんて言われたことが無い。ごく自然に題材になってくれて思う存分撮れるから、今まで何枚撮ったか分からない。

2013008290009.jpg車を置くスペースの両側に薄いけれど乗客の船室がある。船が動いている間も別にここにいなくていいのだが、陽射しの強い日や雨の日は助かる空間。5分ほどの船旅で、車に乗った人が車から降りることはない。3台並んで入ってしまうとドアが開かないし・・
 
 

2013008290010.jpg救命胴衣は客室の天井にあるのかー。開けたら降ってくるわけね。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

2013008290011.jpgゴーヤだ..
 
 
 
 
 

2013008290012.jpg船旅というのは長さに関係なく、視点が変わるから想像以上に面白い。
 
 
 
 
 

2013008290013.jpg向島側から見た尾道駅側の景色。千光寺山の上には旧・展望台兼お城の博物館だった城型の建物、通称・尾道城。古寺めぐりなどの観光コースはこの山に沿って右の方に広がっている。商店街はこの山と海の間に横に長く連なったアーケード。対岸から見ると全体が見渡せて面白いので是非渡ってみることをお薦めする。対岸から尾道を見るには、この福本渡船と、もう少し東にある尾道渡船で向島に渡る。駅前渡船で渡ってしまうと向島の内陸まで入ってしまうので対岸が見えない。福本渡船は一番安く、往復しても歩行者120円。(2013.8現在)

2013008290014.jpg向島側の桟橋。横切っているのは駅前から出ている渡船。私にとって本当に見飽きない風景なのだが、暑いので退散。春か秋にゆっくり来たいなと・・
 
 
 

2013008290015.jpg桟橋の上には屋根があったのだが、経営難を映像化したらこうなる、みたいなことに。以前来た時は天井板が数枚残っていたと思うけどな・・頑張って下さい福本渡船!

では、次回はいよいよ目的の喫茶店・檸檬の樹に。距離はこの写真から1分掛からない場所ですが。。

カメラ:Sony α99 + Sony ZEISS 2.8 / 16-35mm

 

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